Sunday, June 03, 2007

三角合併 Triangle merger 三角并购

№019
2007年5月



三角合併

Triangle merger


三角并购

(Sān jiǎo bìng gòu  サン チアオ ピン コウ)


 「中国の携帯電話会社、チャイナモバイルの時価総額がNTTドコモ、KDDIそしてソフトバンクの3社合計のそれを上回っている」といえば、意外に思うかもしれない。チャイナモバイルの時価総額は香港だけで約22兆円。これに対する日本勢の3社合計は約17兆円であった(2007/5/8)。チャイナモバイルは上海、ニューヨークにも上場しているのでグローバルでみた 時価総額はもっと大きくなるだろう。それほどに日本企業の時価総額は小さいのである。
 合併相手の日本企業の株主に、対価として外国企業の親会社の株を割り当てる「三角合併」が5月に解禁された。国内企業同士はすでに1999年の商法改正で「株式交換」による買収が可能になり、海外企業による買収だけが残っていた。本来であれば昨年5月に施行された会社法の施行と同時に三角合併も認められるはずだったが、財界の強い要請で1年先送りされていたのである。
 この三角合併が日本で解禁されたという報道が、海外でも伝わっている。英語は「Triangle merger」、中国語は「三角并購(サン チアオ ピンコウ)」といい、日本での通り名をそのまま意訳している表現が多い。日本の上場企業の時価総額は世界的にみても見劣りしているからグローバル企業にとっては株式による買収が可能になったことは非常に魅力的だとされる。自然、日本の財界経営者の外資に対する警戒が高まることも無理からぬ話であろう。
 買収しようとする会社は欧米企業だけではなく、中国の巨大資本も動き出す可能性がある。欧米は主として日本市場への参入を目的するが、中国は日本の最先端の技術を狙っているとされる。三角合併は日本の経営の機動性を高め、日本の株式市場の活気を取り戻すことが期待されると同時に、技術の流出をもともなう諸刃の剣となるかもしれない。

(バル2世)