政府系ファンド Sovereign Wealth Fund 主权财富基金
№021
2008年8月
2008年8月
Sovereign Wealth Fund
主权财富基金
(Zhú Quán Cái Fù Jī Jīn チュー チョアン ツァイ フー チー チン)
(Zhú Quán Cái Fù Jī Jīn チュー チョアン ツァイ フー チー チン)
日本版政府系ファンド(SWF)の創設を目指す報告案が自民党国家戦略本部「SWF検討プロジェクトチーム」によって報告案が出された。それによると約150兆円にのぼる公的年金の積立金を一部切り離し、10兆円規模の運用基金をつくろうという主旨である。運用期間は5年。5年後に当初目標の利回りが達成できない場合は解散させる。逆に、運用が順調に進めば、資産規模を拡大してこの制度を継続するという仕組みである。しかし、日本は国会運営が壁となってSWFは、当面できないだろう。
昨今の政府系ファンドといえば、石油などの資源による収入や外貨準備といった国家の富を運用する基金である。略称のSWFは英文表記のSovereign Wealth Fundの頭文字をとったもので、中国では英語表記をそのまま訳した「主権財富基金(チューチョアンツァイフーチーチン)」が使われている。日本語のそれはかなりの意訳であり、そのイメージはどの国にもある公的なファンドであり、国境を越える巨額な投資資金とはかけ離れているような気がする。
世界最大のSWFはアラブ首長国連邦のアブダビ投資庁(ADIA)で、推定8,750億ドルある。隣国の中国では外貨準備を資金源とした中国投資有限責任公司(CIC)が2,000億ドルの資金の運用を開始しており、日本を初めとする海外への投資を積極的に振り向けていくものと思われる。サブプライムローンで低迷する国際資本市場にとってもSWFに対する期待は高まっており、資金の出し手としての影響力が高まっている。その一方で、エネルギー産業のような国家の安全保障に関わるセクターへの投資は、資金の出し手がロシア・中国となると、俄然警戒感を強めてくる。
資本市場からみて救世主のように期待されているが、主権国家にとっては諸刃の剣にもなりかねない。
(バル2世)
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